令和元年9月2日月曜日の修法記

本日は基本を行った後、復習科目として「腕十字 立合掌固」「片手押小手」「抜打押小手」と、「両手寄抜」の研究を行いました。

先輩拳士には以下の様にご指導頂きました。

「腕十字 立合掌固」
●相手を崩す
掛手をして相手を崩す際に、相手の肩で動きが止まってしまったり、一瞬だけ崩しても手の位置を戻してしまうと相手は安定し技は掛かりません。相手を少し前体重にさせて崩しておくことが重要です。その際、自分の手が動いてしまうとまた相手は安定しますので、相手を前体重にさせたまま相手の斜め後ろに入ることが大切です。

「抜打押小手」
●痛みではなく、原理で掛ける
相手の寸脈を打って痛みで手を離させると言うよりも、自分の肘を入れにいく様にして軽く押すだけて相手の肘が返り、相手は仰向けの状態になってくれます。そこから相手を落とすには、相手の指先を床に向け、相手の肩の真横に相手の手を付けにゆき大拳頭を軽く押さえます。すると大きい相手でも倒れます。

道院長には以下の様にご指導頂きました。

「両手寄抜」の研究
●ぶつかりを無くし、相反する動きを同時に行う 
掴みに来た相手を後ろに投げているように見えますが、これは寄抜と同じ原理です。相手が掴んでいる手と自分の手が「丁」の字になっていると相手とぶつかります。逆に、相手の人差し指に添うように、自分の肘を相手の人差し指と一直線になる所へもってゆくとぶつかりがないから相手は立っていられなくなるので後ろに転がります。その動きをしながら、自分の体は相手に入ります。これを同時に行うのです。すると、相手は後ろに転がります。相手のエネルギーが返るだけなのですが、飛ばされているように見えます。相手の全体を貰うイメージで、手を先程の肘と一直線の形にしながらこちらが先に入ると、相手が手に触れる前に崩れ後ろに転がります。

〈考察〉
本日は道院長より技の前に持つべき意識や動きについてご指導頂きました。まず大切なのは衝突しない意識と形になることです。手首を相手に捕まれて衝突している場合は相手と自分の腕が「丁」の字になり文字の形通りぶつかって動きません。その場合、相手はこれでもかとしっかり握れます。動かないということは、実は相手がそうしようとしているのではなく、自分がぶつかりにいっているから安定して動かないのだと思いました。しかし、相手の人差し指の延長線上に自分の肘をもってゆくと、相手は取っ掛かりがなく手応えがなくなってしまうので自分の力で崩れたり転がってしまうのです。そういう形や原理を意識することが大切なのだと思いました。
一見、ごく些細な事のようですが、結果は大きく異なります。私は技を行う時に、衝突している形のままで何とかしようとしていました。その場合は技が掛からないですし、相手も反発してきます。しかし、相手の指先の延長に自分の肘をもってゆくと相手はスッと崩れてくれるのです。これは、自分の「我」を無くすことにより、相手のエネルギーを流す形になっているのかなと思いました。
相手を感じて衝突しない形や位置を意識するだけでこんなにも相手の反応が変わるのだなと思いました。しかも、投げられても「あれ?」という感じにしかならないのが不思議です。痛める技だと反発心も湧いてきますが、それが無いのです。対立でなく調和を生む武道とはこういうものなのだろうとも思いました。
日常でも衝突が起きる時は相手のエネルギーに同じかそれ以上の力で対抗しようとしている状態です。すると相手との関係性は膠着状態となります。しかし、相手を感じてみるとぶつからない方法は自分の持っている「我」という詰まりを無くすことであり、自分次第なのだと分かります。修練でも日常でも相手を感じ、衝突せず調和を導けるように心がけてゆきたいと思いました。

(井上 恵以子 記)