令和二年1月16日木曜日の修法記

1月16日は、道院長指導のもと「両手送小手」の修練を行いました。

道院長に指導いただいた内容と、はじめに私が指導補佐として指導させていただいた時間がありましたので、そこで拳士からいただいた質問と気づいたことも併せて記録します。

【両手送小手】

・相手の重心について

「目打ちで崩した相手の重心が戻らないように。意地悪をするわけでなく、相手の崩れつつある重心をわざわざ持ち上げて支えてあげる形になっている場合もある。」

・左手の操作について

「手のひらを開いて指先を外に向ける。この時点で相手の右手は親指と人差し指の輪っかが引っかかているだけの状態になる。掛け手をして、手首の位置を変えずに左手を巻く。先ほどの重心を戻さないように意識しつつ行う。ここで必ず手首を殺す。手首を殺すことで首が固まる。首が固まるので相手の重心を僅かに移動させるだけで崩すことができる。また手首を殺していれば、相手が肘を伸ばして、あるいは曲げて逃れようとしたどの場合においても、どうにでも対処することができる。吊落、送肘攻、十字小手など。手首が活きていると首は自由に動くので肘が伸びて流れる。」

・立ち位置と足捌きついて

「斜め前あたり。しかし自分の立ち位置よりも、相手の状態を観ることの方が重要。入り過ぎる必要もなく、相手がこちらに依存して寄りかかる立ち位置を感ずること。この技は相手の重心操作なので、立ち位置と足捌きは重心の調整に用いる。どこに立ち、どこに足を置けば良いのかは、相手の線を感じてここという場所があるので、それを掴む。」

・肘の屈伸について

「仮に相手の頭が落ちきらなかったとする。この場合でも、肘を曲げて相手に寄り、伸ばす動きで落としきることができる。かかりきらなかったそのこと自体は問題ではなく、肘が伸びきっていたりして次の動きに移行できない状態になってしまっているなど、流動性が損なわれた動きになっていると良くない。ただし、床を突き抜けてもっともっと下に下に意識を置いて、一発で落としきるのが本来の理想形。」

・裏固について

「非常に微妙な角度で極まっていないように見受けられる。肩の前の経絡を攻める。肩を押さえるのがメインで、大拳頭の操作は補助である。上から乗ると肩の状態が変わって極まらない。」

また、指導補佐時に「鈎手守法で引っ張られてしまうのはなぜか」との質問を受け、その様子を見せていただきました。私が思う要点は次の通りです。

・まずは親指の一番圧がかかっているポイントに意識を集注する(親指の基節骨上端〜末節骨あたり)。その点を手首の太淵穴(手首のシワの親指側の端にある)あたりで切る。接点に対して垂直に切りに行くのではなく、掴まれた皮膚一枚を残して太淵穴をやや外転させ、相手の親指の根本側から指先に掛けて滑らすようにして圧力を抜く。コツとして手首より肘を使う。

・母指と小指を張り、労宮を窪める。薄い外壁に中身が空洞になっている(ピーマンのような・・・)手をつくるイメージで、皮膚一枚を残して手首を操作する。

・相手の手が触れる一瞬前、相手の肘からこちらの肘までをまっすぐ一本にする線を通すと、相手が認識していた目標物の状態が変化し、力がすり抜ける感覚がある。うまくいかない時、相手の引いてくるベクトルに対して角度をもって対抗する意識がある。その時接点を軸にお互いが固体化している。

・相手の掌がこちらの手の甲に吸い付いているから、教範通り親指から肩口を通って氣が円流する。関節だけ避けて捕ると交流が途切れる。

この時質問者の動きを見ていると、接点への意識が強いように見受けられました。

相手が構えている状態から、掴みにくる。その一連の過程で、相手の手がこちらの手首に触れ、引っ掛かり、掴むというタイムラインがあります。

もちろん掴まれた手を抜きますし、言葉ではプロセスごとに説明するのですが、掴まれる瞬間だけでもそれだけの動きがあります。本来切り分けることできない現実を変えるために、言葉で表現できる点を意識して試すと難しいだろうと思いました。

鈎手守法では接点を切ることで、そこに集注していた圧力を指先に流して抜いていきます。

送小手では重心移動を目的として条件を揃えていきます。重心というのは0から30、30から80など区切りをもってジャンプしているのではなく、常に連続体で、自分の身体と相手の身体さえも境界線になっていないスペクトルだと思います。なので所感としてあるのは、送小手や裏固でも、叩き壊すのではなく、こちらが使っている力の流れを変化させて、身体を通り抜けて流されてしまうのです。そういう身体を通り抜けて流れる氣感を掴むことが重要だと思います。

言葉で説明を受けられるのは条件を揃えるための操作までなので、一度受けた感覚をみちしるべに変化させていきたいです。

(梅田 海来 記)