令和2年4月13日月曜日の修法記

本日は基本稽古の後、復習科目として「逆小手より裏返投」「肘抜より前天秤」の修練を行いました。以下のように指導して頂きました。

「逆小手より裏返投」

目打から掛手をする際に直線で動かさない。円流するように動きます。上から押さえられた相手は自然と上に上がるように動いてしまいます。抑える、触れる、そういった動作の中でそのような相手の反応を感じて意識しながら法形修練を行います。

逆小手を行う時に、その場で自分の肘が前に出て顔を守るような形を作ります。身体を捻ったりして鈎手の位置がよく後ろに動くので、逆に相手に近づいて行います。龍王拳の小手抜と同じように真っ直ぐ入ります。相手の小手を極めようとして視野が狭くなってくると後ろに引いたり捻じったりして倒そうとしてしまいます。相手が倒れるのは正中線が崩れた結果であって、それ以前に小手を攻めてしまっては相手に踏ん張られたり足が出たりしてしまいます。相手が倒れる方向は真下であり、その際に自分の足が邪魔なので倒れる場所を空けるために足を捌きます。

 逆小手で相手が倒れる時の自身の形は順突の形になります。その時には反対の手も使います。掛手が力んで脇が開いたりしてしまいますが、掛手の特に肘を鈎手の位置に一度寄せてから出すようにします。正中線を経由してから動きます。

両手を使うことで自身に正中線が出来ます。この正中線が出来ていない状態では弱い状態と言えます。順突も引手を使うことでより遠くへ拳が届きます。後ろに引かず頭は膝の上にくるくらいしっかりと前へ出るようにするのが順突です。

刀を斜めに斬る時も同じ形になります。刀はその場で振るのでは無くて、しっかりと前体重になりながら振り下ろします。その時に自分の足の指を斬ってしまわないように後ろの足を少しだけ捌きます。

逆手投、龍投、外巻天秤など、逆小手から色々な変化技がありますが、逆小手が極まらなかった時に相手の首を外腕頭で攻めて倒す方法があります。前腕を刀に見立てて、その腕で斬るような形を意識して行うと、逆小手の体捌きが掴みやすいです。

 順突の形を意識するというのは、相手に真っ直ぐに入ることが重要なためです。相手の手首を攻めるのではなくて正中線を捉えると相手が崩れやすくなります。川の中に棒を挿すとそこから流れが分かれて変わってしまうようなイメージです。ですが棒が水面に浮かんでいるような状態では相手は何も変わりません。小手だけを攻めるというのはこの浮いている状態です。棒を挿すというのは自分の正中線を相手に少し預けるように行うイメージです。

また逆小手を行う際に、狭い通路ですれ違うようにイメージします。後ろに引いても相手がついてくる、横にも動けないという状態で、お互い半身になって通り抜けていくようなイメージです。攻者は小手を掴んで引く、と言っても、小手を捕るために前に出てきますので、その流れを妨げないようにします。掛手はそれで相手の幅を捉えやすくなりますので、相手を感じる意識で行います。

全ての動きは前に出るように行います。順退りや開退りを行った後も必ず前に出ますし逆により意識を前に出します。相手に近づけば、逆に相手は離れていきます。その宇宙法則を体現する必要があります。

「肘抜より前天秤」

攻者は不自然な攻めをしています。それを邪魔しなければ勝手に崩れていきます。相手が安定しているのは自分が支えているためです。それをやめて相手が崩れれば肘抜も行いやすくなります。特に鈎手の時に守者の前側の肩が水平外転しきるくらいに大きく動きます。そうすると鈎手の時点で相手が崩れ始めます。

肘抜の後に腕頭を相手の上腕に触れに行きますが、上腕がスタート地点になってしまっているので相手の体側から小円筋を撫でる様にして上腕にゴールします。上腕に当ててから技を始めるのは遅いのです。その後も後ろに引かずに真下に倒すように意識して行います。

〈考察〉

本日の修練で思ったのは、道院長の動きが全身を非常に大きく使っておられていて「全身全霊と言いますが、全霊の前に全身を使わなくてはいけない。全身も使っていないのに全霊が発揮されるわけがない」という言葉を思い出しました。時に動きを省略してまるで何もしていないのに相手を倒すような技をされることもありますが、先ず道半ばの自分は全身を使う意識を養う必要があるのだと思います。

また色々な部分で止めてしまっている自分を感じました。相手の力の流れが止まってしまって、相手が安定してしまったり力を与えてしまって相手を強くしてしまっていました。また自分自身へも止める、手加減とか手抜きとか、一歩足が出なかったり引手を使わなくて突きが出ていなかったりしています。

少しの身体と意識の使い方でまるで結果が変わってくる、この大きな質の違いを認識して修練に励まなければ同じことの繰り返しになってしまうのではないかと思いますので、その辺りを意識して修練していきたいと思います。

(柴田 千博 記)